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質の高い住宅は固定資産税が安くなる
固都税は、以下の計算式で計算されるのでした。
固都税=課税標準額×税率
土地(住宅用地)の課税標準額の特例措置や、土地に係る負担調整措置では、いずれも「土地」の(固定資産税を算出する基になる)「課税標準額」に対する減額措置をみてきました。
ここでは、「家屋」の「固定資産税」に対する特例措置をみていきましょう。
新築住宅の建物(家屋)に対する特例措置
新築住宅に対する特例措置
新築された住宅について、以下の条件を満たす場合、一定年度分は居住部分の120㎡までは「家屋の固定資産税(都市計画税は対象外)の1/2を減額」してくれます。
居住部分の120㎡までは、家屋の固定資産税(都市計画税は対象外)の1/2が減額
「居住部分」のうち120㎡までですので、店舗と住居が混同している併用住宅の場合、居住部分でない部分はこの特例の対象外です。
住宅の種類 | 適用条件 | 適用期間 | |
---|---|---|---|
一般住宅 | 長期優良住宅 | ||
一般の新築住宅 |
| 新築から 3年度分 | 新築から 5年度分 |
3階建以上の 耐火・準耐火建築物 | 新築から 5年度分 | 新築から 7年度分 |
長期優良住宅(新築)に対する特例措置
2009年に「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が施行され、国土交通省も長期優良住宅の普及に向け、住宅ローンの支給支援や各種税の優遇を打ち出しました。
その一環として、長期優良住宅に認定された「認定長期優良住宅」の建物は、それぞれ一般の新築住宅よりも2年度分延長してこの家屋の固定資産税の特例措置が優遇されています(上表の一番右の列ご参照ください)。
長期優良住宅とは、「長期」にわたり優良な質を保つ住宅のことであり、新築時のみならず年数が経過した後の維持管理・メンテナンスのしやすさもみており、定期的なチェックもあります。長きにわたり優良な性能を求めるものなのです。
具体的には、構造躯体の劣化対策、耐震性、維持管理・更新の容易性、可変性、高齢者等対策(バリアフリー性)、省エネルギー性、居住環境、住戸面積、維持保全計画が条件となっています。
この特例を使う場合は、お住いの役所に自宅が長期優良住宅であることを認定してもらい「認定通知書」を取得し、それを固定資産の担当部署に提出する必要があります。
長期優良住宅には、固定資産税のほかにも、所得税の住宅ローン控除や、登録免許税、不動産取得税などで優遇されます。長く住むことができる住宅を残そうという国の強い意志が透けてみえますね。
【具体例】新築住宅の特例措置
床面積200㎡の家屋の固定資産税評価額が3,000万円の戸建て一般住宅(マイホーム)の場合、本来、家屋の固定資産税は「42万円」(=3,000万円×1.4%)となります。
50㎡≦床面積200㎡≦280㎡であり、かつ、マイホームですのですべて居住空間です。
よって適用条件を満たし、200㎡の内120㎡の部分についてはこの特例が適用されますので、以下の通り、新築から3年度分は家屋の固定資産税が「29.4万円」となります。
家屋の固定資産税「29.4万円」=42万円-120㎡部分の減額12.6万円(*)
(*)12.6万円=42万円×(120/200)×(1/2)
それが特例期間が終わると急に固定資産税があがり驚く方もいるようですが、初めから特例が適用され安くなっていることを理解し、計画的に税を支払いましょう!
耐震建て替えに関する減額措置
1981年1月1日以前から存在する住宅を取り壊して耐震化を行った新築住宅に対して、「3年間」「固定資産税が全額免除」されます。
耐震建て替えまたは改修後、3カ月以内に申告する必要があります。
建て替えではなく改修の場合には、「1年間」「住宅1戸あたり120㎡の床面積相当分まで全額免除」されます。
尚、東京都のように全額免除する場合や、横浜市などのように1/2のみ減額する場合など各自治体で優遇度合いは変わるようです。
耐震化の要件には以下などのすべての基準を満たす必要があります。大きくは変わりませんが自治体によって多少異なりますので、具体的に申請を考えられている方はお住いの自治体に確認しましょう。
例えば、東京23区で耐震化のための建替え又は改修を行った住宅に対する固定資産税・都市計画税の減免 要件は以下の通りです。
- 新築または回収後の住宅の居住部分の割合が家屋の1/2以上であること
- 新築された住宅については検査済証、改修された住宅については耐震基準適合証明書の交付を受けていること
- 建替えの場合は、家屋を取り壊した日の前後各1年以内に新築された住宅であること
- 耐震改修の場合は、改修費用の額が1戸あたり50万円を超えていること
建て替えに比べて改修の場合は優遇度が下がりますが、いずれにせよ耐震工事を控えている方はぜひこの恩恵を受けましょう!
さらに、改修した住宅が、建築物の耐震改修の促進に関する法律にも盛り込まれている「通行障害既存耐震不適格建築物」、つまり、地震の時の避難路などとして特に重要な役目を果たすと自治体が指定した道路に隣接する住宅の場合には1年間プラスされ「2年間」となります。
省エネ改修工事に関する減額措置
2008年1月1日以前から存在する住宅に、以下の要件に該当する省エネ改修工事を行った場合、改修工事完了年の翌年度に限って床面積120㎡相当に対しては固定資産税を1/3減額されます。
工事完了日から3カ月以内に申告する必要があります。
住宅の要件
省エネ化の減額措置を受ける場合は、住宅が以下の条件をすべて満たす必要があります。
【住宅の要件】以下をすべて満たす住宅であること
- 省エネ改修費用(補助金などを除く自己負担)の額が1戸あたり50万円を超えていること
- 改修後の住宅の床面積が50㎡以上であること
- 改修費用(補助金などを除く自己負担)の額が1戸あたり50万円を超えていること
- 居住用部分が1/2以上であること
適用される工事内容
工事内容については、以下2つの場合の省エネ化工事に対して特例措置が講じられます。
- 窓の断熱改修工事(二重サッシや複層ガラスなど)
- 窓の断熱改修工事に併せて行う、以下の工事
- 床の断熱改修工事(基礎外側・床下部分の断熱対策など)
- 天井の断熱改修工事(天井裏・屋根下地への断熱材施行など)
- 壁への断熱改修工事(壁内側への断熱材施行など)
適用は1回きりで、バリアフリー化改修の減額措置以外は併用不可
省エネ改修の特例は、1回限りの特例ですので、何度も省エネ化を行ったからといって複数回適用することはできません。
また、以下でご説明するバリアフリー化改修の固定資産税の減額措置を除いて、新築住宅や耐震化など他の固定資産税の特例が適用されている期間に併用することはできません。ご注意ください。
バリアフリー改修工事に関する減額措置
以下の要件に該当するバリアフリー化のための工事を行った場合、改修工事完了年の翌年度に限り、床面積100㎡相当に対しては固定資産税を1/3減額されます。
工事完了日から3カ月以内に申告する必要があります。
住宅の要件
バリアフリー化の減額措置を受ける場合は、住宅が以下の条件をすべて満たす必要があります。
【住宅の要件】以下をすべて満たす住宅であること
- 新築後、10年以上経過した住宅であること(貸家を除く)
- バリアフリー改修費用(補助金などを除く自己負担)の額が1戸あたり50万円を超えていること
- 改修後の住宅の床面積が50㎡以上であること
- 居住用部分が1/2以上であること(賃貸部分は適用外)
居住の要件
住宅のみならず、その住宅に住む人の要件も定められています。
【居住の要件】以下に該当するいずれかの方が申告時に居住していること
- 65歳以上の方(改修工事完了年の翌年の1月1日における年齢)
- 介護保険において、要介護認定または要支援認定を受けている方
- 障害のある方
適用される工事内容
工事内容については、以下の8項目のバリアフリー化工事に対して特例措置が講じられます。
- 通路(廊下)または出入り口の拡幅
- 階段の勾配の緩和
- 浴室の改良
- トイレの改良
- 手すりの取り付け
- 床の段差解消
- 引き戸への取り替え
- 床表面の滑り止め化
尚、どの工事を対象とするかは自治体によってもその線引きがあいまいなところがあります。
例えば、町田市はエレベーターや階段用昇降リフトの設置工事は対象外としています。ご不安な点は事前に役所へご相談ください。
適用は1回きりで、省エネ改修の減額措置以外は併用不可
バリアフリー化の特例は、1回限りの特例ですので、何度もバリアフリー化を行ったからといって複数回適用することはできません。
また、省エネ改修の固定資産税の減額措置を除いて、新築住宅や耐震化など他の固定資産税の特例が適用されている期間に併用することはできません。ご注意ください。
固定資産税の家屋(建物)に対する特例のまとめ
建物にも固定資産税が減額される特別な措置があることをみてきました。
この他にも特例はありますし、適用の要件は自治体によって変わったり、申請のタイミングなどに注意を要します。実際に適用される場合には、自治体に問い合わせることが一番確実です。
また、これらの特例措置は毎年のように内容が変更されたり期間が決まっています。最新情報も含め、役所に問い合わせてチェックしましょう。
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